同じ平均でも結果の散らばりが異なる2つの架空パチンコ確率モデル
データ分析11 MIN READ · UPDATED 2026.07.31

パチンコの分散・標準偏差とは?同じ期待値でも荒さが2倍違う理由を600万回転で検証

結論から言うと、期待差玉が同じでも勝ち負けの振れ幅は大きく変わります。パチンコで投資を複数日や複数台へ分散しても、同じ条件なら1回転あたりの期待値は改善しませんが、一度に同じ機種へ集中する場合とは資金推移の見え方が変わります。今回の架空モデルでは、1,000回転セッションの平均差玉をともに理論上0玉へ固定したまま、標準偏差が3,114.063玉と6,183.897玉に分かれました。一撃型は小当り型の約1.99倍です。

執筆:パチプローズ編集部 · 確率式とシミュレーター実装を照合して構成

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この記事の要点

  • 期待差玉は両モデルとも理論上0玉でも、実測標準偏差は約3,114.063玉と約6,183.897玉に分かれた
  • 中央90%の差玉幅は小当り型が-5,000〜+5,000玉、一撃型が-10,000〜+10,000玉だった
  • 標準偏差は勝率や期待値の代用品ではない。平均・中央値・分位点・負け率を一緒に読む

MEASURED DATA

同期待値2モデル・各300万回転の比較

各モデルを30 Seed、1 Seedあたり100セッション、1セッション1,000回転で実行しました。払出期待値と投資玉を1回転あたり10玉へそろえ、当り頻度と1回の払出だけを変えています。

指標小当り型一撃型
当り確率 / 払出1/100・1,000玉1/400・4,000玉
理論期待差玉0玉 / 1,000回転0玉 / 1,000回転
平均-22.667玉-38.667玉
中央値0玉-2,000玉
標本標準偏差3,114.063玉6,183.897玉
理論標準偏差3,146.427玉6,316.645玉
P05〜P95-5,000〜+5,000玉-10,000〜+10,000玉
マイナス率45.07%53.97%
セッション数3,0003,000

平均の小さなマイナスは有限試行の乱数誤差です。理論期待差玉は両モデルとも0玉であり、実測平均を将来予測や実機の収支保証には使えません。

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短い答え:標準偏差は「平均からの散らばり」

分散は、各結果が平均からどれだけ離れたかを二乗して平均した量です。標準偏差はその平方根で、元の差玉と同じ「玉」の単位へ戻した散らばりの指標です。値が大きいほど、同じ試行回数でも収支が平均から遠くへ動きやすいと読めます。

今回の実測では小当り型の標本標準偏差が3,114.063玉、一撃型が6,183.897玉でした。平均差玉はほぼ同じでも、散らばりは約1.99倍です。

期待差玉0玉で同じだが標準偏差が3114玉と6184玉に分かれた2モデルの分布比較
概形は読みやすく整えた模式図です。数値ラベルは30 Seed・各3,000セッションの実測値を使用しています。
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比較条件:期待値を固定し、当り方だけを変えた

小当り型は1/100で1,000玉、一撃型は1/400で4,000玉としました。どちらも1回転あたりの期待払出は10玉です。投資も1回転10玉に固定したため、1,000回転後の理論期待差玉は両方とも0玉です。RUSH、LT、時短、残保留、賞球、ラウンド間ロスは含めていません。

本体のSeededRandom、createMachineState、simulateMachineBatchを使い、Seed SEO-VARIANCE-20260731-001〜SEO-VARIANCE-20260731-030の30本を実行しました。各Seedで100セッション、各セッション1,000回転、1モデルあたり3,000,000回転です。条件と全セッション差玉は公開JSONへ保存しています。

  • 比較するもの:当り頻度と1回の払出
  • 固定するもの:1回転あたり期待払出10玉、投資10玉、交換率
  • 反復:30 Seed×100セッション×1,000回転×2モデル
  • 集計:平均、中央値、標本標準偏差、P05、P25、P75、P95、マイナス率
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P05〜P95で見ると「普通に起こる幅」が2倍

小当り型のP05は-5,000玉、P95は+5,000玉でした。一撃型は-10,000玉から+10,000玉です。中央90%の幅は2.0倍になりました。

P05とP95は「この範囲に必ず収まる」という保証ではありません。今回の3,000セッションを小さい順に並べた位置です。裾の外側には、さらに大きな勝ちと負けが残ります。平均だけで資金の上下動を見積もると、この幅を見落とします。

小当り型と一撃型の差玉P05からP95までを横棒で比較した図
P05〜P95の区間は、小当り型が1万玉幅、一撃型が2万玉幅でした。
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理論値との照合:二項分布の標準偏差

独立したn回の抽選で当る回数Xは、単純化すると二項分布で表せます。当り確率をp、1回の払出をB玉とすると、払出側の標準偏差は B×√{n×p×(1−p)} です。固定投資は分散を増やさないため、そのままセッション差玉の理論標準偏差になります。

小当り型の理論値は3,146.427玉、一撃型は6,316.645玉です。実測値との差は有限試行によるものですが、理論上の比2.008に対して実測比は1.986となり、方向と大きさが整合しました。

実機は大当り後の状態遷移や複数の出玉振り分けを持つため、この単純な式だけで機種全体の荒さを断定できません。ここでの目的は、期待値をそろえても分散は変えられることを分離して確かめることです。

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標準偏差と勝率は別物

今回のマイナス率は小当り型45.07%、一撃型53.97%でした。ただし、一撃型は差玉0が起きにくく、中央値が-2,000玉に位置する離散分布です。標準偏差だけから勝率を計算したり、「荒いほど勝てる」と読んだりはできません。

実戦条件を比べるなら、期待値、中央値、勝率、P05〜P95、最大ドローダウン、必要資金を別々に示す必要があります。今後の記事では、このうち資金枯渇確率と最大ドローダウンを独立テーマとして検証します。

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再現方法と限界

下の再現用JSONには、モデル条件、Seed、各セッション差玉、ヒストグラム、分位点、理論値を保存しました。生成スクリプトを実行すれば、同じSeedから同じ結果を再構成できます。図表の数値はこのJSONから参照しており、本文だけを書き換えて数字がずれる状態を避けています。

これは架空の比較実験で、特定機種・店舗・釘調整の勝敗を示しません。税、交換手数料、止め打ち、技術介入、遊タイムなども対象外です。本結果は実戦結果や利益を保証しません。

仮説から条件固定、30 Seed、理論照合、JSON公開、記事反映までの再現フロー
記事公開時は、数字だけでなく仮説・条件・乱数・理論照合・生データをそろえます。

SOURCES

定義・計算の参照資料

  1. [1] Binomial Distribution

    NIST/SEMATECH二項分布の前提、平均np、標準偏差√{np(1−p)}の確認に使用。

    参照日 2026-07-30

  2. [2] Are the data consistent with a nominal standard deviation?

    NIST/SEMATECH標本標準偏差の定義式とn−1で割る計算方法の確認に使用。

    参照日 2026-07-30

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検証資料と関連ガイド

FAQ

よくある質問

Q. パチンコの標準偏差が大きいと勝ちやすいですか?

いいえ。標準偏差は結果の散らばりを表す指標で、期待値や勝率そのものではありません。平均、中央値、勝率、分位点と一緒に確認します。

Q. 期待値が同じなら長期結果も同じですか?

試行を十分に重ねた平均は同じ方向へ近づきますが、そこへ至るまでの上下動や必要資金は分散によって変わります。有限期間の結果が同じになるわけではありません。

Q. パチンコで投資を分散すれば期待値は上がりますか?

上がりません。同じ抽選条件を時間や台へ分けても、1回転あたりの期待値は変わりません。独立性や相関を確認したうえで、資金の振れ幅と一度に抱える損失リスクを別に評価します。

Q. 標準偏差は実機の公表スペックだけで求められますか?

単純な初当りだけなら近似できますが、実機全体にはRUSH突入、継続、出玉振り分けなど複数段階があります。状態遷移を含むモデルと公表仕様の確認が必要です。

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