
パチンコのp値で遠隔は分かる?500台×100 Seedで偽陽性を検証
p値0.05未満は不正の確率ではありません。全台が正常な1/319でも、500台を別々に検定すると平均20.65台が「有意」になりました。
執筆・検証:archivefan編集部
運営者の旧実戦ブログ「稼動日記と日々のアーカイブ」↗この記事の要点
- 全台が正しい1/319でも、未補正p<0.05は5万台中2,065台(4.13%)、100/100ホールで1台以上出た
- 500台のBonferroni基準p<0.0001では6/5万台、該当ホールは6/100まで減った
- 真の確率が1/250でも2,000回転の未補正検出力は11.45%。p値が大きくても正常とは断定できない
- p値は原因を示さない。遠隔、設定差、故障、記録漏れを分けるには事前計画と完全なデータが必要
比較結果
1/319・500台×100 Seedのp値と極端値
各台を通常時2,000回転、1ホール500台として100回反復。全台の真の確率を1/319に固定し、正確二項検定の両側p値を未補正とBonferroni補正で比較しました。
| 指標 | 理論・判定基準 | 100 Seed実測 |
|---|---|---|
| 未補正の有意基準 | p < 0.05 | 2,065/50,000台(4.13%) |
| 未補正で有意な台/ホール | 平均20.17台 | 平均20.65台・P05〜P95 15〜29台 |
| 500台のBonferroni基準 | p < 0.0001 | 6/50,000台・6/100ホール |
| ホール最小p値 P05〜P95 | 500台から最小値を選択 | 0.000095〜0.007068 |
| 真の確率1/250の検出力 | 1/319比+27.6% | 未補正11.45%・Bonferroni 0.156% |
| 1台の平均初当り | 6.2696回 | 6.2798回 |
| 1台の標準偏差 | 2.5000回 | 2.4974回 |
| 1台の中央値 | 二項分布の中心付近 | 6回 |
| 1台のP05〜P95 | 二項分布から算出可能 | 3〜11回 |
| 1台が初当り0回 | 0.187% | 103/50,000台(0.206%) |
| 500台のどこかで0回 | 60.86% | 67/100ホール(67%) |
| 1台が初当り15回以上 | 0.208% | 104/50,000台(0.208%) |
| 500台のどこかで15回以上 | 64.72% | 66/100ホール(66%) |
| 0回か15回以上のどちらか | 86.22% | 88/100ホール(88%) |
| ホール最多初当り P05〜P95 | 極値分布 | 13〜18回 |
| 標本数 | — | 100 Seed・50,000台・1億回転 |
全台の帰無仮説が真なので、p値基準で有意になった台はこの検証では偽陽性です。実測は100ホールの有限標本で、特定店舗の正常性や不正を判定するデータではありません。
短い答え:p値だけでは遠隔も設定差も断定できない
p値は、あらかじめ置いた帰無仮説が正しいときに、観測結果と同じかそれ以上に極端な結果が出る度合いです。p=0.03は『遠隔の確率97%』でも『偶然の確率3%』でもありません。モデルとデータの食い違いを測る一つの数値です。
全台が正しい1/319のままでも、500台を個別にp<0.05で判定すると、実測では1ホール平均20.65台、P05〜P95で15〜29台が有意になりました。100ホールすべてに少なくとも1台あります。
p値分布:正しい1/319でも5万台中2,065台がp<0.05
正確二項検定の両側p値を5区間に分けると、p<0.01は364台、0.01≤p<0.05は1,701台でした。合計2,065台、全体の4.13%です。
連続な検定統計量なら、帰無仮説の下のp値はおおむね一様に広がります。今回は初当り回数が整数の正確二項検定なのでp値も離散的で、理論偽陽性率は4.033%です。5%を少し下回ること自体は計算方法の性質であり、正常性の証明ではありません。
検出力:2,000回転では真の差があっても見逃す
帰無仮説を1/319とし、真の確率だけを1/300、1/280、1/250へ変えた理論検出力も計算しました。1/250は1/319より当選確率が27.6%高い条件ですが、2,000回転の未補正p<0.05で検出できる確率は11.45%です。
500台のBonferroni基準では、同じ1/250でも検出率は0.156%まで下がります。補正は偶然の有意を抑えますが、差の見逃しを増やします。p値が大きいことも、正常・同一確率の証明にはなりません。
極端値:台数が増えるほど目立つ台は見つかりやすい
確率が変わったからではありません。1台ごとの抽選が同じ1/319でも、観察対象を500台へ広げると、まれな結果に出会う機会も500台分へ増えます。これは多重比較やルック・エルスウェア効果と呼ばれる見方です。
1台が2,000回転すべて外れる理論確率は0.187%。しかし500台のどこかで起きる確率は60.86%です。15回以上当る台が少なくとも1台ある確率も64.72%でした。
検証条件:500台を各2,000回転、100 Seedで反復
本体のSeededRandom、createMachineState、simulateMachineBatchを使い、Seed SEO-EXTREME-BIAS-20260806-001-688990c0〜SEO-EXTREME-BIAS-20260806-100-489152b6の100本を実行しました。1 Seedは500台×2,000回転の100万回転、合計50,000台・100,000,000回転です。
モデルは通常時1/319の初当りだけを持つ架空仕様です。台ごとに独立した派生Seedを使い、初当り回数と最大ハマりを記録しました。RUSH、LT、出玉、回転率、交換率、釘、止め打ち、残保留、遊タイムは対象外です。
- 理論確率:1/319(約0.31348%)
- 1台の試行:通常時2,000回転
- 1ホール:独立な500台、100 Seed
- 検定:正確二項検定の両側p値、未補正α=0.05、Bonferroni補正α=0.05/500=0.0001
- 集計:平均、中央値、標本標準偏差、P05・P25・P75・P95、最少・最多、最大ハマり
- 検出力:真の分母1/319・1/300・1/280・1/250を理論二項分布で比較
- 生成日時:2026/8/23 22:38:44
実測結果:5万台の中心は6回、両端は0〜20回
50,000台の初当りは平均6.2798回、中央値6回、標本標準偏差2.4974回でした。中央90%にあたるP05〜P95は3〜11回です。
全体では0回が103台、15回以上が104台。最少は0回、最多は20回でした。大半が中心付近に集まりながら、50,000台を見れば両端も同時に存在します。
理論式:1台の確率を500台の確率へ変換する
2,000回転の初当り回数Xは、単純化した独立抽選では二項分布X〜Binomial(2000, 1/319)で表せます。平均はnp=6.2696回、標準偏差は√{np(1−p)}=2.5000回です。0回の確率は(318/319)^2000で求めます。
1台で極端値が起きる確率をqとすると、独立な500台すべてで起きない確率は(1−q)^500。したがって、少なくとも1台で起きる確率は1−(1−q)^500です。0回または15回以上のどちらかが現れる理論確率は86.22%になります。
100ホールの極値:最少0回・最多15回が中央値
ホールごとの最少初当りは中央値0回、最多初当りは中央値15回でした。最多側のP05〜P95は13〜18回で、Seedによって「いちばん目立つ台」の値も動きます。
500台全体の実測分母は中央値1/318.57、P05〜P95は1/310.27〜1/327.03でした。全体が1/319付近でも、個別台が同じ回数へそろうわけではありません。
判定手順:目立った台を後から選ばない
閉店時に最もハマった台や最も当った台だけを探すと、最初から500回の比較をしていた事実が抜け落ちます。1台に対する0.2%前後をそのまま見て「異常」と判断せず、何台・何日・何指標の中から選んだ結果かを先に数えます。
検定前に対象台、期間、通常時回転数、初当りの定義、片側か両側か、有意水準、補正方法を固定します。結果ではp値だけでなく、実測分母、理論値との差、信頼区間、欠測、除外、全対象数を並べます。目立った台だけを後から選ぶと、偶然を異常に見せやすくなります。
それでも有意差は原因を特定しません。入力ミス、データ欠落、機種・状態の混在、独立性の崩れ、仕様差、故障、不正は別の仮説です。具体的な不審事象がある場合は、統計だけで断定せず、日時・台・事象を保存し、店舗やPSIOなどの正式な窓口へ事実を伝えます。
分かること・分からないこと
分かるのは、同じ1/319・2,000回転でも個別台の初当り回数とp値は散らばり、500台を同時に見ると未補正の偽陽性がほぼ確実に見つかることです。補正後も誤判定はゼロにならず、検出力との交換条件が残ります。
分からないのは、次にどの台が当るか、実在店舗の抽選が同じ条件か、有意差の原因が何か、差玉や収支がどうなるかです。この記事は特定店舗や機種の不正・優劣を判定せず、実戦結果や利益を保証しません。
再現方法:Seed別500台と理論値をJSONで公開
再現JSONには条件、Seed範囲、全100ホールの初当りヒストグラム、最少・最多、最大ハマり、ホール分母、理論確率を保存しました。生成スクリプトは本体エンジンを呼び出し、保存JSONの先頭Seedを検算テストで再実行します。
記事の図表はこのJSONの値から作成しました。別の回転数、台数、確率帯を比べると結果は変わるため、同じ条件で再生成してから比較してください。
出典
定義・計算の参照資料
- [1] 統計的推定と統計的仮説検定 ↗
総務省統計局 — 帰無仮説、有意水準、両側検定、p値の基本定義の確認に使用。
参照日 2026-08-23
- [2] Critical values and p values ↗
NIST/SEMATECH — p値を帰無仮説の下で観測値以上に極端な検定統計量となる確率として扱う定義と、事前に有意水準を決める原則の確認に使用。
参照日 2026-08-23
- [3] Bonferroni's method ↗
NIST/SEMATECH — 複数比較で全体の誤判定率を抑えるBonferroni不等式と補正の理論確認に使用。
参照日 2026-08-23
- [4] Statement on Statistical Significance and P-Values ↗
American Statistical Association — p値は仮説が正しい確率、効果の大きさ、結果の重要性を表さず、閾値だけで結論を決めないという公式原則の確認に使用。
参照日 2026-08-23
- [5] PSIOの概要 ↗
遊技産業不正対策情報機構(PSIO) — 遊技機の不正改造や禁止される遠隔操作を含む不正情報の正式な取扱先と、不正排除機関の役割確認に使用。
参照日 2026-08-23
- [6] Binomial Distribution ↗
NIST/SEMATECH — 二項分布の確率質量、平均np、標準偏差√{np(1−p)}の理論確認に使用。
参照日 2026-08-06
- [7] 遊技機に関する事象等について ↗
遊技産業不正対策情報機構(PSIO) — 過去の当否で次回の大当り確率が上がるわけではないという独立抽選の説明確認に使用。
参照日 2026-08-06
- [8] 大当たり確率を科学する ↗
ダイナム — 多数台でも各台の実測確率がそろうには大きな試行数が必要という現行SERPの説明範囲を確認。
参照日 2026-08-06
計算と根拠
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疑問を解消
よくある質問
Q. p値0.01なら遠隔の確率は99%ですか?
違います。p値は、帰無仮説と検定モデルを置いたときに、観測結果と同じかそれ以上に極端な結果が出る度合いです。遠隔、不正、設定差など特定原因の確率は表しません。
Q. p値が0.05以上なら正常と証明できますか?
できません。今回の2,000回転では、真の確率が1/250でも未補正検定の検出力は約11.45%でした。差があっても見逃すため、棄却できないことと同じ確率であることは別です。
Q. 500台を見るときはp値をどう補正しますか?
家族内誤差率を5%以下へ抑える単純な方法として、Bonferroni補正なら0.05を500で割り、各台の基準を0.0001にします。ただし検出力が下がるため、目的と対象数を検定前に決めます。
Q. パチンコの異常を検証するには何を残しますか?
対象台、日時、通常時回転数、初当り定義、除外条件、全対象数、機種・状態、欠測を記録します。p値だけでなく実測分母、差の大きさ、信頼区間も示し、具体的な不審事象は正式な窓口へ事実として伝えます。
Q. 500台あれば必ず極端な台が出ますか?
必ずではありません。今回の定義では、0回または15回以上のどちらかが出る理論確率は86.22%、実測は88/100ホールでした。出ないホールもあります。
Q. 初当り0回の台は確率がおかしいですか?
1/319を2,000回転して0回の確率は1台なら約0.187%です。まれですが、500台のどこかで起きる確率は約60.86%まで上がります。単独の台だけで異常とは判断できません。
Q. 500台全体が1/319なら個別台も収束していますか?
いいえ。今回のホール全体分母の中央値は1/318.57でしたが、個別台は0〜20回まで分かれました。全体平均と個別結果は別に読みます。
Q. 出ている台やハマり台は次回を予測できますか?
独立抽選なら予測できません。過去2,000回転の初当り回数が多くても少なくても、次回転の理論確率は1/319のままです。